2016年2月9日火曜日

書けるものが何も無くなったと思ったときから・・・

 書けるものが何も無くなったと思ったときから、それでもなお、何か書こうともがいている自分の中に、ふと、そんなことをして何になるというのか、という疑問がわき出てくるのを感じ、いっそ書きたいものが無ければ書かなければ良いという甘い誘惑でみずからを堕落させようとするけれども、そもそもぼくは書こうとするその内容はどうでも良く、ただ文字をつらつら書いていたい、つまり、インクを減らしたい、という欲求の中で生きているのだとつくづく思い出し、今日も書くために何かを探している。白紙の上が文字で埋まること、それそのものの快楽が私を突き動かしている。だったら、なにかしら一つ文字を決め、なんでもいい「あ」でも「型」でも、「隷」でもいいから、それをただひたすらに書いていくのでは駄目なのだろうか。違う、それは書くことではない。書くことには、残される書かれたものの価値を創造することが含まれているのだから、僕はただ、価値ゼロの行為を書くとして認められないのだ。でも、だったら、それは書かれるもののことを思うわけで、書くことはいっこうに進まない。進まないままに、こうして僕は書いてみる。書いてみる。書いてみる、と繰り返し書いてみる。それによって何が生まれるか、僕が書くことを苦しんでいることそのものが書かれていることをこうやって感じることができる。