2012年7月7日土曜日

高橋源一郎「『悪』と戦う」

ぼくというひとが大人になって私になっても、ぼくはぼくのままなのかなあ、と思うことがある。
大人になるってこと自体がピンと来なかったら、この問題はいつまでたっても答えられない。でも。大人になるってこういうことだって分かったなら、それはもう大人なんだろう。だから、ぼくはなにも答えられないでいるんだ、と昔思ったものだ。
すでに、私は大人になってしまった。もう子供には戻れない、あの、何も知らなかったころには戻れない、驚きが少なくなり、答えが一つになっていく、それを人は成長と言うけれども、本当に成長が素晴らしいことなのだろうか。

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