2013年4月29日月曜日

ロベルト・ヴァルザーの詩「事務所にて」


 つくるということが最近はできないでいる。 
 やることといったらつくりかえることくらい。 
 それも必要にせまられてではなく、 
 必要を感じるためにつくりかえる。 


 「事務所にて」 

 月が僕らを見る、 
 彼にとって僕はみじめな雇われでしかない、 
 雇い主の厳しい目にやつれた 
 みじめな雇われでしかない。 
 いごこちわるく首を掻く。 
 生きるという陽の光を浴び続けるなんて 
 僕には出来そうもない。 
 足りないということが僕にはふさわしい、 
 それが雇い主に見られながら 
 首を掻くしかないということ。 

 月は夜の傷。 
 血の雫は全て星。 
 例え輝かしい幸福からはとおくとも、 
 おこぼれくらいはもらえるのだ。 
 月は夜の傷。 
 

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