2013年3月26日火曜日

ロベルト・ヴァルザーの詩 「雪」


カフカや、現代の数多くの作家が愛するスイスの作家ロベルト・ヴァルザー。 
読んでみて思ったのは、もしかしたらカフカより好きかもしれない、という期待。 
カフカはあまりに自分と同化してしまいその姿を見ることができない、いわば僕の目がカフカの目であるよう。 
それに比べてヴァルザーは確かにそこにいる、その姿を見ることができる。 



 「雪」 

 雪がふる、雪がふる、大地を覆ふ 
 白い苦しみを伴つて、ずつと遠く、遠くまで。 

 痛みに空からひらひらと落ちる、 
 綿のやうなもの、雪だ、雪だ。 

 それが君にくれるのは、あゝ、ひとつの安らぎ、ひとつの広がり、 
 雪に埋もれた世界がぼくを弱くさせる。 

 だからこそ最初は小さかつたのに、段々大きくなる憧れが 
 涙を求めてぼくの中へと押し入つてくる。 


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